トイレの歴史メモ 音姫

「音姫」と言えば、トイレ用の擬音装置のことが思い浮かぶでしょう。「ウォシュレット」と同じく、「音姫」はTOTOの登録商標です。TOTOが音姫を発売する1988年よりも前から、同様のトイレ用擬音装置はあったそうです。パイオニアは、トイレ用品などを開発販売していた折原製作所の「エチケットーン」でした。エチケットーンは1979年に発売されました。

日本女性は用を足すとき平均2.7回の水を流すという調査結果もあるとおり、用を足す際の音を恥ずかしく感じるという文化があります。また、そうした事情にあたって水が流される時、特に問題視されたのが、水の無駄遣いでした。この無駄を減らすことで、どれだけの水が節約できて、今まで水道代として支払ってきた費用を削減できるか。この大きな効果に目につけて開発が始まったそうです。

とはいえ、最初はなかなか購入してくれる事は少なかったそう。そんな中、東京のとある衣料品メーカーの工場から大量受注。女性が多く働く工場内のトイレ約300にエチケットーンが付くと、その効果のほどにマスコミ取材も殺到。それからは、売れに売れて大ヒット商品となりました。

その後は、他メーカーも同様の装置の開発に追随し、さらに広く普及することになりました。ただし、世界的に羨望の眼差しで見られ、ハリウッドスターが自宅に導入していることが話題になるウォシュレット(温水洗浄便座)とは違い、音姫などのトイレ用擬音装置には、海外でのニーズは伸びませんでした。なぜなら、用を足す際の音を恥ずかしいと思う感覚は、日本女性のようには、海外の女性にはないものだったからです。


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